Saturday, May 01, 2004

料理修行のUP TO DATE (8)

「できました」

先ほどから様子を伺いつつ、今か、今かと待っていたのにそんな様子はおくびにも出さず、Phillは私が手渡したスープを受け取り、にこりともせず

「Thanks」

とだけ言うと、一口、口に運んだ。

「,,,」

俯いてじっと床の一点をみつめたまま何も言わない。

彼の反応を待つ私。手のひらが熱い。オープン前のざわついた空気がすーっと自分とPhillのまわりから遠ざかって、喉の奥が渇くような緊張が走る。かすかに、Phillの首が縦に振れた。

「OK。 30人分出来てるな。」

「はい」

「何かservingで注意することは?」

「ローストしたポテトは食感を生かすために、お客さんに出す直前に入れること。それとパセリフレークをガーニッシュ(飾り)に使ってください。」

Phillがフロントスタッフを集めそのことを伝え、ランチタイムが始まった。

いつものように野菜や肉を補充のため、調理場と冷蔵庫を行き来しながらもスープのオーダーが入るフロントの声が聞えるたびに背筋がピッと伸びるような緊張が走る。

「Tomoko、私のお客さんが今日のスープとってもおいしいって。」

仲良しのフロントのStefanieがウィンクしながらカウンター越しにお客さんの反応を教えてくれる。

やたっ♪

Phillの反応が今ひとつ不安なままだけに、思わず小躍りしたくなるくらいうれしい。

裏でひとりにんまりしていると、店のオーナーシェフのHerveyがやって来た。

「Tomoko、come on.」

な、何?

キッチンをつっきりフロントに出る。ちょっと。どこへ行くの?

Herveyは窓際に座るあるお客さんの前で足を止めた。

「Madam、今日のスープは彼女が担当しました。」

見覚えがある。週に一度はやってくる品のよい老婦人だ。

「Chef, おいしいスープをありがとう。That was excellent!」

「,,,thanks Madam.」

感動が言葉にならない。彼女が差し出してくれた手を両手で握り返しながら目の前が少し涙でぼやけた。

キッチンに戻るとPhillのとびきりの笑顔が飛び込んできた。

「Now you are a great chef, Tomoko! 」

MarkもDavidもにこにこ笑ってる。

れにしてもテイスティングの時、全然褒めてくれなかったじゃん。

「バカだなぁ。お客に褒められるのが一番。だろ?」

そうだね。(^^♪

本日のスープ、無事30食完売なり!

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