Tuesday, April 27, 2004

料理修行のUP TO DATE (7)

ロブスターを使ったビスク、あさりを使ったクラムチャウダー。。。だめだ。どれもコストがかかりすぎ。

いつもの食材で新しさを出すには食感を変えるしかない。ソテーでもグリルでもなく、、そうだ!ポテトに衣をつけて軽くローストしてみたらどうだろう?最初に口の中にはいってときに今までにないクリスピーな感じがでておもしろいかもしれない。

スープは、、と。ポテトのしっかりした感じを演出できるのはやっぱりクリームがいい。けど、いつもと同じじゃないクリームスープって何かできないだろうか?

ふと野菜棚から目を上げて、ソースの棚を見ると昨日作ったばかりの大量のトマトソースのストックの瓶が目に入った。

これだ!

野菜はポテトの他に玉葱、彩りを考えて、グリーンアスパラと、イエロースクワッシュ、赤のベルペッパー、残りのパンチェッタ。それにクリーム系には相性ばっちりのマッシュルームを入れることにした。

賽の目に切り、オイルと小麦粉をまぶしたポテトをBake pan に並べオーブンにぶちこむ。その間に他の野菜を同じく小さめのさいころ型に切り、軽くソテーしておく。別鍋でバターと小麦粉、ミルク、ナツメグでベチャメルソース(ホワイトソース)を作りソテーした野菜を加えて煮込む。

ここまででクリームスープとしてはほぼ完成。なんだけど。

さっき棚にずらりと並んだトマトソースを見て、ずっと前にどこかで読んだ記事が頭の中をよぎったのである。その名も「ピンクのクラムチャウダー」

細かいことは全然覚えていない。けど、クリームスープにトマトソースを合わせたら、、きれいなピンク色になるんじゃなかろうか。パスタだってトマトクリームソースってのがあるわけだし、味としては多分いけるはずだ。とはいうものの正真正銘初の試みである。まずは実験。小さな鍋に出来上がったクリームスープ一人前を取り、少量のチキンブロスと合わせたトマトソースを入れてみた。

クリームの白にトマトの赤が混ざり鮮やかなピンク色のスープになった。

おそるおそる味をみる。。。。大丈夫だ。それぞれの野菜の味はちゃんと生きてる。スープもクリームのしつこさがトマトの酸味で見事に軽減されている。

仕上げにもうひとつ。さっきローストしたカリカリポテトを出す直前にスープにくぐらせて出来上がりだ。

一人前をカップに入れる。最後の難関、Phillのテイスティングである。(続く)

Monday, April 12, 2004

料理修行のUP TO DATE (6)

レストラン Siena での忘れられない話。その?。

ある朝、いつものようにルーティンワークをこなしていると、Soo ChefのPhillが話しかけてきた。

「Tomoko、今日のランチのスープなんだけど何がいいかな?」

このレストランではLunch Features としてChefオススメのメニューと、単品で「zuppa del giono (本日のスープ)」を日替わりでサービスしている。いつもだとPhillが決めて、私はその材料分の野菜を切ったり、炒めたり、グリルするという役割分担になっているのだけれど、毎日のことだけに結構パターンが決まってくる傾向にあった。

「そうですね。。確か昨日はトマトベースだったから、クリーム系は? 」

「うーん、けどなぁ一昨日クリームスープだったし。」と、Phill

、、ふーむ。と考え込む私の肩をポンと叩くと、

「そうだ! いい考えがあるよ。今日のスープはTomokoに担当してもらおう。That's a good idea!」

・・へ?

「じゃ、11時までに30人分。頼むわ。」

ちょ、ちょっと待ってよ。

そんなこと急に言われても。せめて前日そう言われてたら、下調べくらいしてくるのに。だいたい私、プレップ(準備係)だし。

芝居でいうところの、照明助手補がいきなり、主人公の相手役をやるみたいなもんじゃない?これ。

呆然とする私を残し、Phillはさっさと自分の持ち場に戻ってしまった。今までの経験からして、これもまた彼の「愛情あふれる試練」だろうということは予想がつくけど、自分の作ったものがそのまんまお客さんのテーブルに並ぶのである。それもSiena というレストランの看板背負って。

時計の針は間もなく10時になろうとしている。時間がない。とにかくとりかからねば。

まず、『本日のスープ』の鉄則としていくつか守れねばならないことある。その一。残っている食材をできるだけ使うこと。そのニ。Food costはミニマムに抑えること。これはメインにはなりえないメニューでありながら、同時に客単価をあげ、食材の回転を良くするというポジションによるものである。そして忘れてはならないその三は、

おいしいこと。

ウォークイン(大型冷蔵庫)をぐるっと見回す。Pancetta(生ベーコン)の端っこがある。ポテト、オニオン、キャロット、、、ああ、これじゃいつもと同じだ。何か、いつもとちょっとだけ違う何か。はないだろうか。(続く)

Friday, April 09, 2004

料理修行のUP TO DATE (5)

ない知恵を振り絞って考えた結果、私はできるだけ同じ大きさのポテトを30個選び、洗って、ホイルで包んだ後、15個を1batch(1回分)としてbake panに並べてovenにぶちこんだ。そして最初の10分が過ぎたところから、5分に1度の割合で一番手前の1個に竹串を刺して出来上がり具合をチェックし、同時にpanを180度回転させることにした。

同じ大きさのイモを選んだのはもちろん焼き時間を限りなく同じくするため。そして180度panを回転させる理由もまたそこにあった。つまりovenを開けるときに外気によって急激に下がる内部の熱の影響をドア側と内側で格差を最小にすることにより焼き具合ができるだけ均等に、つまり仕上がりが同じタイミングになるためである。

15個を1回分として残りを待機させたのは、余剰在庫、つまり作りすぎによる無駄を最小限にするためと、一度目でだいたいの焼き時間をつかめれば、竹串チェックをする回数も減らすことができる。と考えたからだった。実はovenの中は棚状になっていて、同じタイミングでパンとかチキンとか、他のシェフのお仕事も一緒に進行している。開け閉めを頻繁に繰り返すことは出来る限り避けたい作業なのであった。

出来上がりを判断する基準として、「外も中もしっとりほくほく」がベストであるが、少々の焼き時間が長いことによって起こる弊害は、ナマヤケよりはまし。という結論を持って臨むことにした。ちょっとくらいドライになってもバターを添えるからOKだけど、レアなベークドポテトは間違いなくクレームがくるからね。

という訳で1回目の仕上がりは25-30分。あとはオーダーの入り具合をチェックしつつ、焼き時間を逆算して、ぜーったいに足りなくならない、けど作り過ぎないように2回目以降を調整していった。

もうすぐランチタイムが終わろうとしていた。

Tomoko, you did a great job!

Soo ChefのPhillだ。

お前、俺がワカラン。って言ったとき泣きそうな顔してたろ。でも俺はお前に自分で考えてやって欲しかったんだよ。同じ大きさのイモを選べ。30個全部いっぺんに焼くな。panはひっくり返せ。って言うのは簡単だよ。けど、そしたらどうしてそうなのか。って思わない。次に同じ仕事やるときにきっとまた同じこと聞くよ。でも自分で考えてやったことはちゃんとモノになる。

彼の大きな手が私の肩をがっちりつかんで再び「Good job!」と言った。

....胸の奥が熱くなった