Thursday, March 11, 2004

料理修行のUP TO DATE (3)

料理修行をさせてもらったイタリアンレストラン「Siena」での思い出はつきないけれど、その中でも忘れがたい話がいくつかある。

ある朝。いつものように9時にキッチンに入り準備にとりかかった。この店はランチタイムとディナーのシフトでシェフが代わるので、夜のシェフからの申し送り事項が冷蔵庫の横に掛けてある掲示板に書かれている。朝は通常の仕込みをしながら、その申し送り事項を手分けしてやる。というのがルーティンになっていた。

「おーいTomoko。今日もダックよろしくね。」

へいへい。言われなくてもわかってます。というのは独り言。「わかりましたぁ!」という気持ちのよいお返事をして、イタリアンパセリを刻むその手を休め、すでに冷蔵庫で解凍が終わっているDuckたちをお迎えに。

例のボードには申し送りされる仕事のひとつひとつにスーシェフのPhillによって担当者の名前が書き込まれていく。例えば、Ravioli Stuff - Micheal とか、Tomato Sauce - George とか。

で、Duck - Tomoko

他の人は毎日やることが違うのに、私はいつも、きまって、変わらずに「ダック」である。変わらないから書き換えられず、したがって、マジックの文字も他より薄れて間のハイフンも見えなくなってしまった。

「Duck Tomoko って xxx (私のラストネーム) Tomokoよりいいよ!」と超うれしそーなPhill。

Michaelも Georgeも、なんとパティシエの Susanまでがオオヨロコビだ。

「やだっ!もっと他の仕事もしたい!」と必死で食い下がる私。

「おおっ。心配するな。他の仕事もどんどんやらしてやるよ。けど、やっぱりDuckはTomokoの仕事だから」

「....」

かくして私は来る日も来る日も鴨をさばくことになったうえ、Duck Tomoko なんていうあんましかわいくない名前まで授かることになってしまったのであった。呼ばれるたびにふてくされると、ますますおもしろがられちゃうので、もう最後は自ら、Duck Tomokoを名乗り、ボートにも「これは私の仕事なので他の人がやるときは予め断ってください。Duck Tomoko」と書いてやった。

夜のシフトの中には私の本名がDuck Tomoko だと思っていた奴がいたとかいないとか。

あの時の様子を思い出すと、今でも笑いがこみあげてくる。そしてあれもシェフから私へのトレーニングだったのかなぁ。と思ってみたりする。だって事実、鴨をさばかせたらちょっとウルサイ私だもん(笑)。

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