Monday, March 15, 2004

料理修行のUP TO DATE (4)

レストラン Siena での忘れられない話。その弐。

新人かつ見習いの私は、鴨さばきに代表されるように、プレップ(仕込み・下準備)が主な仕事である。

パスタを茹でるお湯をわかし、サラダの皿を冷やし、トングやフライパンを洗い場から調理場に運び、ガーリック・パセリ・エシャロット・スカリオン・ローズマリーなどを刻む。その間にも、玉葱をみじん切りにしろだとか、ベイクドポテトを作っておけとか、サラダグリーンを補充しておけだとか。

で、こういう指示を受ける側としては、「やるべきこと」と「その数量」を明確に指示して欲しい。と思うのは当然でしょ?新人および見習いならばなおさらである。 たとえばベイクドポテトを作るためには、ジャガイモを洗って、1コ、1コをホイルに包んで、Bake panに並べ、オーブンにぶち込む。って作業が発生するのだが、『何人前、もしくは何個の』ジャガイモが必要なのか。オーブンに入れる時間は『何分』なのか。等々。

玉葱みじん切りにするのはいいけどさ。。。何個分よ?

しかし現状は、私のささやかにして切なるそれらの願いはほとんど全く聞き入れられず、それゆえ、頼まれ事をするたびに詳細を確認しまくってる私なのであった。

「玉葱?、、そうねぇ。だいたい2パイント。キャロットは1パイント。でいいや。」

1pt分の玉葱が何個であるかは自分で測れ。ちゅーことですか。。。はい。わかりました。

ベークドポテトにいたってはハードルはさらに高い。

「え? ジャガイモどれくらいかって?そーねぇ。今日のランチでオーダーが入る分くらいだよ。」

・・・そんなんどーやって私がわかんねん!

「だいたいでいいですから何人分とか言ってもらえないですか?」と私。

「俺に聞かれてもなぁ。。俺、客じゃねえし。」

・・これってもしかしてイジメ?

「わかりました。じゃ、とりあえず30個作っておきます。いいですね?」

「余っても困るし、足りなくても困るから。そこのとこよく考えて頼むわ。」

そりゃそーでしょうけど。

「で、オーブンの時間は?」

「硬すぎず、柔らかすぎず。」

「・・・」

倉庫でひとりジャガイモを数えながら、大きなため息がでる。経験をもってしても難しいオーダーの予想をなぜ私にさせるのだろう。目安のbaking timeを教えてくれないのはどうしてなんだろう。 (続く)

Thursday, March 11, 2004

料理修行のUP TO DATE (3)

料理修行をさせてもらったイタリアンレストラン「Siena」での思い出はつきないけれど、その中でも忘れがたい話がいくつかある。

ある朝。いつものように9時にキッチンに入り準備にとりかかった。この店はランチタイムとディナーのシフトでシェフが代わるので、夜のシェフからの申し送り事項が冷蔵庫の横に掛けてある掲示板に書かれている。朝は通常の仕込みをしながら、その申し送り事項を手分けしてやる。というのがルーティンになっていた。

「おーいTomoko。今日もダックよろしくね。」

へいへい。言われなくてもわかってます。というのは独り言。「わかりましたぁ!」という気持ちのよいお返事をして、イタリアンパセリを刻むその手を休め、すでに冷蔵庫で解凍が終わっているDuckたちをお迎えに。

例のボードには申し送りされる仕事のひとつひとつにスーシェフのPhillによって担当者の名前が書き込まれていく。例えば、Ravioli Stuff - Micheal とか、Tomato Sauce - George とか。

で、Duck - Tomoko

他の人は毎日やることが違うのに、私はいつも、きまって、変わらずに「ダック」である。変わらないから書き換えられず、したがって、マジックの文字も他より薄れて間のハイフンも見えなくなってしまった。

「Duck Tomoko って xxx (私のラストネーム) Tomokoよりいいよ!」と超うれしそーなPhill。

Michaelも Georgeも、なんとパティシエの Susanまでがオオヨロコビだ。

「やだっ!もっと他の仕事もしたい!」と必死で食い下がる私。

「おおっ。心配するな。他の仕事もどんどんやらしてやるよ。けど、やっぱりDuckはTomokoの仕事だから」

「....」

かくして私は来る日も来る日も鴨をさばくことになったうえ、Duck Tomoko なんていうあんましかわいくない名前まで授かることになってしまったのであった。呼ばれるたびにふてくされると、ますますおもしろがられちゃうので、もう最後は自ら、Duck Tomokoを名乗り、ボートにも「これは私の仕事なので他の人がやるときは予め断ってください。Duck Tomoko」と書いてやった。

夜のシフトの中には私の本名がDuck Tomoko だと思っていた奴がいたとかいないとか。

あの時の様子を思い出すと、今でも笑いがこみあげてくる。そしてあれもシェフから私へのトレーニングだったのかなぁ。と思ってみたりする。だって事実、鴨をさばかせたらちょっとウルサイ私だもん(笑)。

Wednesday, March 10, 2004

料理修行のUP TO DATE (2)

11月いっぱいで、お世話になったイタリアレストランでのExternship を終え、無事卒業の運びとなった。 鴨のさばき方はもとより、基本的な包丁の使い方、料理方法に応じた野菜の切り方、ソースのバリエーション、そして何より、Timely(タイムリーに),Precisely (正確に), Consistently (一貫して)料理を提供することの難しさと、Professionalism(プロの料理人)の厳しさを教えてもらった。現場でプロのシェフたちが体現しているそれらを真近で見て、感じて理解(わか)ることは、学校でテキストを読んで頭で理解(わか)っていたこととは比べものにならないくらい大きなインパクトを私の心に焼き付けた。

オープン前の準備時間や、休憩時間に交わされる料理談義も楽しかった。自分が食べたピカイチの料理を思い思いに語り、馴染みの薄いアジアの食材については(私がアジア人だと言うだけで)いつも質問攻めにあわされ、そして最後は必ずそれぞれのイタリア料理への情熱と憧れを熱く語る。そこには性別の差や、国籍の違い、肩書きや経験の違いをも越えた、ただひたすらに料理を愛する人たちだけに通いあう共通の想いがあった。

そういう場所で仕事をさせてもらえる機会に恵まれたこと、素晴らしい料理人たちに出会えたことは、本当に幸運だった。そしてそれは料理人として歩き始めたばかりの私の核になっている。

Tuesday, March 09, 2004

料理修行のUP TO DATE (1)

3月である。先回の日記が2003年の11月だから、4ヶ月近くサボっていたということだ。

スミマセン。。。

『まだ鴨をさばいているのだろうか?』

とか、

『もう料理修行は止めたのか?』

とか。

ご心配かけてます・・・・健在です。

単なる怠け心で、書かなかった確たる理由などなかったように思っていたのですが、今こうして空白の4ヶ月を振り返ると、自分なりにぶちあたった壁の前でもがいていたのかなー。という気がちょっとだけしたりします。

そうだよー。いろいろあったさぁ。(*^_^*)

ひとついえるのは、まだ料理修行はハジマッタばかり。この4ヶ月、反省も失敗も挫折もたくさん味わって正直、行き詰った時期もあるけど、止めたい。だとか、全然考えてないし、まだやりたくてやれていないことが山のようにある。今はまだ全然手の中にないけど、歩きつづけるうちに出会えるチャンスやアイデアにも必ず会いに行きたい。なので遅ればせ、なんだけどまた書こう。と思います。

今でも日本で応援し続けてくれてる友達、アメリカでに来て知り合えた友達、イタリアで出会った友達。ここに来てくれる人はある事情により日本人限定!になっちゃうけど(笑)、みんな違う空間で、ひとりひとり「今」を頑張っていて、なかなか会えないし、去るもの日々に疎し。で忘れられていっちゃったりすることだってあるけど、ま、ここに書く「私」の気持ちが、時間や距離を越えて読んだ人のそばにいけたらそれってすてきなことだと思う。

ということで、とにもかくにもこの4ヶ月間に起きた出来事と気持ち。をアップするところから始めたいと思っています。忘れかけてることとか、考えたことをもう一度見直す自分のためにも。。。。ね。

こんなにほっておいて言えた義理じゃないけどさっ。もし読みに来てくれたらほんとにどうもありがと。

それじゃ。